私は以前はカニ通販ショップのスタッフを経て店長をおよそ5年間経験しましたが、いろいろなトラブルやクレームに遭遇した経験があります。
今、思うと当時のことは笑い話に昇華できますが、当時は本当にキツイ出来事でした。
今回は、かつての私と同じように接客業や通販業のスタッフ向けにモンスタークレーマーの撃退の方法を紹介します。
目次
元蟹屋店長ひろしのモンスタークレーマー体験談
私はカニ通販ショップのスタッフ時代には様々なトラブルやクレーマーと対峙をしました。
そのクレーマーの体験談はこちらの記事に詳しく書きました。
ここで判断に困るのが相手が正当なクレームなのか、言いがかりのクレーマーなのかの線引だと思います。
今まで私の中で封印していたのですが、12月の年末のさなかに起こったクレームとその顛末を語りたいと思います。
カニのフラワーポーションが出荷不能で起こったクレーム
12月はカニがとてつもなく売れるのは周知の事実となります。
そんなさなかに事件が起こります。
ズワイガニのフラワーポーションという、冷凍のカニの刺身がありました。
これが3パック在庫していたので、普通に3パック出品をして程なく売れました。
2パック買った方と1パックを買ったお客さんがいました。
いずれも12月の年末発送でカニの刺身を発送する時に出荷担当者から連絡が来ました。
「カニの刺身なんだけど、あれ変色してるから出せないぞ」
実は冷凍のカニの刺身というのは賞味期限内でしたが、保管中に黄色く変色しやすい代物だったのです。
ここで、シレっと変色したカニの刺身を出荷しようかと頭をよぎったのですが、そこは踏みとどまりました。
私自身は商品の欠品が通販業を営む上で一番恥じる行為と思っていましたが、こういう場合はどうしょうもありません。
もはや出荷する商品がなくなってしまい、こちらからキャンセルの申し出をすることとなります。
まず、1パック注文してくれたお客さんに電話をすると、2つ返事でキャンセルの申し出に了承してもらいました。
安堵しながら、2パック注文したお客さんに電話をするのですが不在でした。
そこで、商品に不具合があったので出荷不能になった旨を伝えるメールを送って、こちらからキャンセルを行いました。
翌日、かの2パックカニの刺身を注文した男性のお客さんから電話がかかってきました。
かの敵は、口調こそ穏やかでしたが、ものすごいネチネチ系のイヤミを言ってきてサンドバック状態となりました。
以下のやり取りはわかりやすく余分な部分を省きます。
敵「こちらの断りもなくてなんでキャンセルしたのですか?」
店長「カニの刺身ですが、商品が変色していまして出荷できなくなりました」
と、応対をします。
かの敵は待ってましたと言わんばかりに
敵「商品に不具合があって出荷不能ってどういうことなの?」
店長「当店は業務用冷凍庫で保管していたのですが、保管状態が悪かったと思います」
敵「保管状態が悪かったってことは、おたくの品質管理ってどうなってるの?」
と、こちらの苦しい言い訳に対して容赦なく畳み込んできます。
こういうやりとりがしばらく続きました。
やがて、かの敵は
敵「あなたは北海道の人だからわからないと思うけど、京都人にとっては正月っていうのは大切なイベントなんですよ?」
と、北海道人を侮辱する言動をしてきました。
敵「とにかく、あなた方は何が何でも商品を発送しなければいけません」
と、何としてでも商品を発送するように強要してきました。
ここで一旦電話を切って、上司に相談をすることとなります。
上司に相談するものの、ズワイガニの刺身の在庫はあれだけだったし、生のズワイガニの原料が手に入らないため商品は用意できないと言われました。
そこで、かの敵に再び電話をしてズワイガニの刺身は出せないことを伝えると、相手は怒り出しました。
また、相手のネチネチしたイヤミを受けることとなりました。
そして、相手は執拗にズワイガニの刺身を届けることを要求してきて、3日後にどうなったか電話をするように言ってようやく電話を終えました。
最初の電話から、かれこれ2時間ほどサンドバック状態を受けたのです。
とりあえず、相手との電話を終えて私の精神のライフはもうゼロに近かったです。
そして、どうしてもズワイガニの刺身は仕入れられないことが確定していたので、事情を説明して平謝りするしか手がなくなりました。
かの電話からの3日間は本当に気が重かったです。
その3日後にネチネチとした精神攻撃を食らう覚悟で電話をします。
呼び出し音が5回鳴っても出ません。
(よし、そのまま出るな)
呼び出し音が12回鳴っても相手が出なかったので電話を切ります。
とりあえず、相手がこちらの電話を出なかったので、以降は相手から電話がかかってきたら対応するスタンスに変えました。
結局、かの敵から電話はかかってこず、この問題はそのまま立ち消えとなりました。
今回のクレームは、こちらの品質管理の甘さが招いたクレームでしたが、お詫びの品の提案を断り、本当にひどい言われようでした。
こちらに非があったとは言え、北海道人をかつての蝦夷のような野蛮人呼ばわりされたのは許されない言動でした。
ズワイガニ刺身クレーマーとの対応で何がいけなかったか?
実は上記のクレーマーの話をこの時期に出した要因というのがこちらの本を見つけた読んだことが発端となります。
対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル 100業種・5000件を解決したプロが明かす23の技術 援川 聡 Amazon.co.jp
この著者の援川聡氏は警察官を経て、株式会社マイカルでトラブルやハードクレームの対応をしていた、クレーム対応のプロとなります。
その後、独立をしてクレーム対応専門コンサルタントとして講演やセミナーを開催したり、顧問契約をした先のクレーム対応のアドバイスや、タチの悪いクレーマーと直接対峙することもあったと書かれています。
この本を読んでみて上記のクレーム対応でまずかった点を上げると、まず根底にあるのがこちらの落ち度があったため、相手の攻撃をまともに受けた点があります。
その後、長々とネチネチとしたイヤミを聞かされて、相手の過大な要求を断固として断れなかった点にあるわけです。
ここで私が取るべき最良の手は、壊れたレコードの如く平謝りと代わりのカニの刺し身を出せないことを繰り返すことでした。
この本を読んていくと、今と昔ではクレーマーの性質が変わってきたと書いてあります。
ひと昔前は暴力団やプロクレーマーといった、イチャモンをつけて金品をせしめるという性質のクレーマーが大多数でした。
ところが、現在では現役を引退した団塊の世代を中心としたシルバーモンスターや、少し前に頻発した雪印や赤福、船場吉兆といった企業が不祥事を起こしたことで企業に対する正義感から、モンスタークレーマーに発展するという傾向があると言っています。
この本の構成としては
- 序章 クレーム現場のありえない最前線
- 第一章 クレームを完全撃退する!発生から解決までの手順
- 第二章 理不尽な要求はこの話術で断ち切れる!
- 第三章 話の通じない相手を撃退する最終手段は「放置」
- 終章 最先端の企業事例とクレームを未然に防ぐ行動習慣
まず、クレームが起きた際に本書の推奨する流れとして
ステップ1 謝って済む問題に持ち込む
これはクレームは発生した直後はお客さんは興奮してテンションが高い状態です。
不用意に相手を刺激しないで、相手の怒りを鎮めるというフェイズとなります。
ステップ2 妥協点を見つける
ステップ1で済まなかった場合はお客さんの言い分を聞いて実態を見極めて、いわゆる誠意のハードルを設定するフェイズとなります。
以前のクレームの記事では
「相手の訴えるクレームの内容に対して謝るべからず」
ということを書きました。
これはどういうことかと言うと、クレームの訴えがあった時に、相手の訴えを鵜呑みにして謝罪してはいけないということです。
あくまでも、届いた商品に対して不快な思いをさせたことをお詫びをするというわけです。
これば相手の言い分に対しての謝罪だとすると、「じゃあ、どうしてくれるの?」という流れになってしまうからです。
いきなりそういう流れにならないように、気分を害したことについて謝罪して相手の怒りを鎮めます。
そして、もっと詳しく話を聞いて事実関係を明らかしていくのです。
そうして、代替品の再送か返金かといったことを提案していきます。
ステップ3 要求を断ち切る
ステップ2で決着がつかなかった場合に、相手の過大な要求を拒否するというフェイズとなります。
モンスタークレーマーはもしかしたら、「ビラを撒くぞ」とか「レビューに悪く書いてやる」といった脅迫をしてくる輩がいるかもしれません。
しかし、そういった輩を最終的には放置するという解決方法を推奨してきます。
本書では相手の怒りに火を注いでしまう「D言葉」を封印して、「S言葉」に変換するようにするように推奨してきます。
また、電話や対面でのクレームって1時間以上の長時間に渡って相手からサンドバック状態に陥ることがあります。
私の遭遇したイヤミな京都人のようにネチネチと長時間クレームを受けると精神に来ますからね。
そこで、長電話を強制終了させるフレーズが本書には詳しく説明されています。
あんまりこの記事で本書のことを書いてしまうと、この本の著者からクレームが来るので、この辺にしたいと思います。
クレームというのは対応方法を誤ると、とたんに相手のペースに乗せられて、相手の過大な要求を吹っかけてくることになります。
相手の過大な要求に答えてしまうことで、味をしめたクレーマーは別の場所で過大な要求をしてくるのです。
私もかつて相手の言い分を真に受けて、過大な要求を何度も飲まされるクレーマーと遭遇しました。
こういったクレーマーはある意味病気なのです。
相手の言い分を真に受けて、相手の要求を無条件の受け入れると言う行為はさらにクレーマとしてエサを与えている状態とも言えるのです。
本書では2015年9月に兵庫県警に逮捕された45歳の女の例を取り上げています。
この女は洋菓子店やパン屋に「ケーキに髪の毛が入っていた」という電話をして商品代金や商品をだまし取っていました。
何とこの女は8ヶ月の間に全国の洋菓子店やパン屋に1万2千回もの電話をかけて、104に5,000回も電話をかけていたことが判明します。
この女が詐欺に手を染めるきっかけが、以前に大阪市内でケーキを買った際に「髪の毛が入っている」とクレームを入れると、レシートや現物を確認することなくお詫びの商品をもらったことが発端なったわけです。
そこで、モンスタークレーマーを育てないように、ショップ側もきちんとクレーム対応していく必要があるというわけですね。
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